文科省のプログラミング教育に関する有識者会議から読み解く②
小学生のプログラミング教育ってどんなことをするの? ~文科省のプログラミング教育に関する有識者会議から読み解く②~
2020年からの小学生のプログラミング教育の必修化によって、プログラミングのワークショップや体験授業、書籍も数多く出版されていますね。子ども向けのプログラミング教育のコンテンツも充実してきていて、その関心の高さがうかがえます。
前回はなぜ小学生にプログラミング教育が必要なのかという観点からみてきましたが、 今回は小学生がプログラミング教育で何を学ぶのかということについて考えていきます。
2016年は「プログラミング教育元年」ともいわれている今、文科省が実施した有識者会議の議論をまとめた資料から掘り下げていきたいと思います。
小学生が学ぶプログラミング教育とは
プログラミング教育というと、プログラミング言語が使えたり、覚えたりしていくことが目的なのではないかとイメージしがちです。早くプログラミング言語を学ばせないと授業についていけなくなるのでは?と不安に思った方もいると思いますが、実際には物事を解決するための手順を考えたり、創造したりしていくことの楽しみや達成感を体験し、学ぶことを目的としているのです。
文科省の有識者会議では、プログラミング教育とは「身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと」と位置付けています。
例えば、自動販売機やロボット掃除機などは、特にコンピュータやプログラミングの存在を意識しなくても日常生活で使っていますよね。これらの便利な機械が単なる「魔法の箱」なのではなく、どのような仕組みで動いているのかを考えてみたり、便利さの裏側には、実は人間がプログラミングという手法を使って機械にやってほしい動きを行わせているのだということを理解できるようにすることは、今後ますます必要で大切な考え方になるだろうといわれています。
自動販売機を例にとり、一連の流れをフロー図のようにしてみました。
【例】自動販売機でジュースを買う仕組みを考えてみよう】
実際にはもっとたくさんの指示や動きを入れて、よりスムーズにジュースが買えるような仕組みになっているのですが、「ジュースを買う」ためには実は様々な手順や決まりがあることに改めて気づき、そのうえでどうすれば自分の意図するように動く(=買える)のかということを考え、解決していくことを学ぶのがプログラミング教育なのです。
それは、国語や算数など各教科で学んだ思考力をベースとしながら、問題を解決する能力に加え、創造力を育てること(=プログラミング的思考)を目指しています。
情報技術が進化し、人間の生活にますます身近なものとなる中で、「プログラミング的思考」を身に付けることは、自分が設定した目的を実現するために考え、よりよい人生や社会づくりに生かしていくために必要な考え方といえるでしょう。
将来、子どもたちがどのような進路を選択しどのような職業に就くとしても、ものごとの仕組みを知ったり、新たな仕組みを創造していくうえでもきっと役に立つはずです。
今後の文科省の動向も気になるところですが、日常のちょっとしたことでも、プログラミング的思考を取り入れてみることで、子どもといつもより少し論理的に考えてみたり、「どうしたらもっと使いやすくなる?」「こうしたらどうなるかな?」という会話が増えるかもしれません。子どもならではの発想もあったりして新たな発見がありそうです。
参考資料
文部科学省 小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)(PDF)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/074/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/07/07/1373891_5_1_1.pdf