海外のプログラミング教育事情~エストニア編~
海外のプログラミング教育事情 ~エストニア編~
エストニアは、フィンランド湾に面するバルト三国の北の国。人口約131万人、国土は九州と同じぐらいという小国ながら、「eエストニア」と呼ばれる行政関連業務や市民生活の多くをオンラインで行うことができるプロジェクトではデジタル社会のロールモデルとして世界各国の注目を集めています。
1991年の旧ソ連からの独立以降、IT立国化に注力しているエストニアは無料で楽しめるコミュニケーションソフト、スカイプを開発した国としても知られています。国民ID導入の取り組みでは、日本がマイナンバー制度を導入する際の参考にもしたようです。世界で唯一、国政レベルでの電子投票を実現しています。
【電子政府、e-Estoniaのトップページ】
エストニアでプログラミング教育を実施した背景には、企業がプログラマの確保に苦戦しているからという理由があります。国家をあげてプログラミング教育を推進することで、経済成長を促そうする狙いもあるようです。
まずは、学生のときにプログラミングを学んだ経験がある人が少ないという課題を解決する対策のひとつでもあるといえます。
プログラミング教育は、2012 年に「プログラミング教育推進プログラム」がスタートし、初等教育(7 歳~15歳)で導入されました。Microsoftもこの活動を支援しています。
エストニアの教育体制では、現場に大きな権限があり、どのような授業を行うのかは各学校や先生に委ねられています。
カリキュラムも学校独自のもので実施していますが、初等教育では、個人の能力や自主性を重視し、ロボットプログラムやゲームプログラムを使って、プログラミングの関心を高めている学校が多いようです。
エストニアで考えられているプログラミング教育の目的は、プログラミングを通して、批判的思考や問題解決能力、創造力や協調性を育成することだとしています。
課題としては、国が明確で統一的な指導方針を規定していないため、学校や指導者に指導内容が依存している点にあるようです。
世界に先駆けて生活のいろいろなシーンでIT化を進めてきたエストニア。市民生活の中で当たり前のようにITを取り入れているエストニアにとって、次世代の優秀なエンジニアを育成することが、国家や国民の生活水準の維持・発展に直結する一面も持ち合わせています。
教育現場では、小さいうちからプログラミング教育を通じてITへの興味の入口を広げていこうと積極的に取り組んでいます。
参考資料
文部科学省平成 26 年度・情報教育指導力向上支援事業
『諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究』
http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf
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