海外のプログラミング教育事情~ハンガリー編~
海外のプログラミング教育事情~ハンガリー編~
中央ヨーロッパに位置するハンガリーは、面積は日本の約4分の1、人口は約990万人の小さな国。人口約1,000万人に対してノーベル賞受賞者を多数輩出しています。 ハンガリーの教育は世界的にみても高い水準だと言われており、日本でいう小学校から高校(6歳~18歳)までが義務教育と定められています。
プログラミング教育については、2003年に初等教育(6歳~10歳)で「Informatika」という専門科目を導入しました。現在では初等・中等教育課程(6歳~15歳)で必修科目とされています。
初等教育ではインターネットにおける検索手法や、簡単なアルゴリズムを習得します。前期中等教育では簡単なプログラムの実装と検証などを学び、後期中等教育では改良の原理を学習するなど、基本的な内容から高度なものまで徐々に内容を深め、段階的に学べるカリキュラムになっています。
「Informatika」の学習内容
教育区分 |
年齢 |
学習内容(概要) |
初等教育 |
6~7歳 |
ICTリテラシ中心の学習がメイン ・インターネットにおける検索手法など |
8~9歳 |
パソコンの安全な使い方の学習がメイン ・アイコン・ボタンの意味 ・ファイル・フォルダの概要 ・文字入力方法 ・ソフトウェアの使い方(Webブラウザ、ペイント、PowerPoint) ・簡単なアルゴリズム(LOGO:※1) |
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前期中等教育 |
10~13歳 |
情報機器やソフトウェアの使い方の学習がメイン ・Windowsの使い方 ・周辺機器(マウス・キーボード・プリンター等)の概要 ・ネットワーク等の通信技術 ・LOGO による図形描画を通して繰り返し処理 ・Pascal(※2)を使い考えたアルゴリズムを実装する ・分岐処理や関数、フローチャートも学ぶ |
後期中等教育 |
14~17歳 |
初等・前期中等の学習内容に加え、コンピュータサイエンスの 基礎的な内容を学習(16~17歳は選択教科) ・コンピュータの構成 ・周辺機器の概要 ・ネットワーク概要 ・ソフトウェア(Word、Excel、PowerPoint)の使い方 ・アルゴリズム (プログラム言語:C、Pascal、Fortran、COBOL など) |
カリキュラムの中で、ITを使った問題解決の手法を養うことは、教育上の目的としても主要な能力として位置づけられるものだとしています。 また、直接的なITの使い方だけでなく、アルゴリズムの勉強やプログラミングを通して、問題解決力や応用力を育むことを重視しています。
日本では、様々な授業(教科)の中でプログラミング教育を取り入れ、プログラミング的思考を育てていこうとしているのに対し、ハンガリーでは、ICTリテラシを学ぶところを入口としてICT教育の一環・延長線上にプログラミング教育を導入していくカリキュラムとなっています。 初等教育において、プログラミングが必修の科目となってから10年以上が経過したハンガリーにとっては、プログラミングの考え方を学ぶことがごく自然のことのように受け入れられているように思われます。 ハンガリーの成熟度の高いカリキュラムは、これからプログラミング教育を導入していく日本にとって、情報教育の参考になる部分があるかもしれません。
(※1)LOGO:教育用のプログラミング言語
(※2)Pascal:教育用に開発された構造化に適したプログラミング言語
参考資料
文部科学省平成 26 年度・情報教育指導力向上支援事業
『諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究』
http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf
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