海外のプログラミング教育事情 ~カナダ編~
カナダ政府は6月14日、幼稚園児から高校生までの約50万人を対象に、コンピュータのプログラミングなどデジタルスキルを教える授業の提供を近く開始することを発表しました。向こう2年で日本円にして40億円超の予算を充てる予定としています。日本で2017年度の「若年層に対するプログラミング教育の推進」に計上された予算は約4億円なので、その予算規模の差は歴然です。
全国の幼稚園や学校で500人もの教員がプログラミングなどを教える予定で、政府はこのプログラムを通じて、科学技術やエンジニアなどの分野に進む若い女性や先住民の子どもが増えることも期待しているといいます。
カナダでは、教育省の指導に沿った教育制度を各州が制定しています。2014年の文科省による調査・研究によると、カナダで最も多くのAI関連企業・産業が集中しているオンタリオ州で、2009年から中等教育から本格的なプログラミング教育を導入しています。初等教育向けのプログラミング教育に関しては、アメリカ発の子供向けプログラミング普及活動である「Hour of Code」が課外授業として進出しており、6~17 歳向けに放課後や学校休暇中にワークショップ、キャンプ等を実施し、Scratch を用いたプログラミングを教えている団体があります。
またカナダでは、国家としてAI(人工知能)研究者の囲い込みや、育成を支援する戦略もとっていて、2017年度のAI推進戦略の予算として、103億円の予算を計上しています。今年の3月には、トロントに世界最高レベルの人工知能の研究を行う研究所がオープンしたばかり。AIの中の1つの要素技術であるディープラーニング分野でも世界トップレベルであるカナダの地位をより一層堅固なものしたいという強い期待がうかがえます。
今後、どのようなかたちで幼児教育の中にプログラミングの概念を取り込んでいくのか、動向に注目が集まりそうです。
参考資料
文部科学省平成 26 年度・情報教育指導力向上支援事業
『諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究』
http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf
海外のプログラミング教育事情~イギリス編~
https://edu.gramin.jp/post/2017012401/
海外のプログラミング教育事情~フィンランド編~
https://edu.gramin.jp/post/2017020301/
海外のプログラミング教育事情~エストニア編~
https://edu.gramin.jp/post/2017030801/
海外のプログラミング教育事情~ハンガリー編~
https://edu.gramin.jp/post/2017040301/
若年層に対するプログラミング教育の推進に4億円を計上
https://edu.gramin.jp/post/2016092101/