海外のプログラミング教育事情 ~韓国編~
海外のプログラミング教育事情 ~韓国編~
1990年代後半からデジタル教科書などの導入に向けた議論が始まり、先駆的に情報教育に注力してきた韓国。プログラミング教育(韓国ではソフトウエア教育と呼ぶのが一般的)も国家政策としてすでに動き始めています。
韓国政府が2011年から推進しているスマート教育では、単に学校で電子黒板やタブレットPCを使うことだけにとどまらず、以下の5項目を目指した教育を実施しました。
子どもたちが楽しみながら、自発的に自分の適性とレベルに合わせて、デジタル教材やITを活用して学習すること、教師と双方向でコミュニケーションをしながら積極的に学ぶことがそのねらいです。 2014年度に実施されたスマート教育満足度調査では、生徒・保護者の9割近くが「既存の教育より満足している」と回答していることからも、ICTを使った教育が満足度の高い状態で浸透していることが分かります。
そして2015年、教育課程が改訂され、正規教育課程としてのソフトウエア教育を推進するためのモデル校が韓国全土に配置されました。小中高あわせて約1200校が指定されていますが、その8割が小学校となっていて、補助金などの援助や教員のサポートを行っています。モデル校では生徒が参加するプログラミングコンテストや、保護者向けの会合なども実施されました。
これらの状況を踏まえ、小学校では2017年より正規教育課程としての「ソフトウエア教育」を開始。2019年3月に必修課程として17時間以上の導入を予定しています。2015年度から実証を積み重ねてきたことから、2019年度は導入における「完成年度」として捉えているようです。 しかしながら、PCを使った学習にしていくのか、教材の選定をどうするのかなど、まだ決定に至っていないことも多いのが実情で、評価観点や評価方法についての課題点も浮き彫りとなっています。
1年後に必修化を迎えるにあたり、どのような舵を切って「ソフトウエア教育」をさらに醸成していくのか注目されるところです。
参考URL
CIEC 第 112 回研究会 報告 韓国でのプログラミング教育と教員養成
http://www.ciec.or.jp/archives/005/201709/0424042a200e8a972133babbe669c88b.pdf
ICTでイノベーションを育む IoT時代に向けた韓国のスマート教育
https://wirelesswire.jp/2016/11/57622/
プログラミング教育が変える子どもの未来 AIの時代を生きるために親が知っておきたい4つのこと
翔泳社刊 大森康正、山脇智志、松村太郎、小野哲生著