海外のプログラミング教育事情 ~ロシア編~
ロシアでは、「連邦教育スタンダード」というカリキュラムがあり、州ごとに準拠したプログラムを定めています。プログラミング教育は、初等・中等教育で一貫して必修科目になっています。初等教育では2009年からプログラミング教育を導入しています。
導入の背景として、同じく2009年にメドヴェージェフ大統領(当時)が打ち出したロシアの近代化政策であるスコルコボ計画が始まりました。これは、世界クラスの知的産物を生み出すためには、資源依存型の経済からの脱却を目指す必要があると考え、早急にイノベーションを起こすために計画したといわれています。
経済近代化に向けて取り組むべき5つの方向性(エネルギー効率、原子力、宇宙・通信、医薬、IT)を示し、2020年までにイノベーションセンターの完成を目指しています。
イノベーションセンターを中心に、さまざまな研究開発や教育を実施するため、ICT教育やその人材育成が重要視されています。また、ICTに基づいた発展が学生たちの教育プロセスや日常生活、将来に不可欠だという考えもあるようです。
初等教育では、アルゴリズム教育を行っています。簡単なアルゴリズムを構築することで、問題を解決する能力を養います。また、図形の大きさや色など問題の規則性を見つけて分類するといったパズルのような問題を解いたり、データを集計、分析し解釈する力をつけさせて、プログラミング教育とつなげているようです。これらをICTの専門用語をなるべく使わないで、図を使うなどして説明しています。
ロシアでは、ICT学習の中でも特にアルゴリズムの教育に重点を置いているようです。現代社会のプロフェッショナルな仕事を行うために必要なアルゴリズム的思考の開発や、問題解決の手法のひとつとしてアルゴリズムを作成する技能を身に着けることを学習の目標にしています。
プログラミング教育の初等教育での必修化導入からおよそ10年となるロシア。「ロシア版シリコンバレー」と言われるイノベーションセンターの完成も間近に控え、その成果が注目されそうです。
参考資料
文部科学省平成 26 年度・情報教育指導力向上支援事業
『諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究』
http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf