文科省 2019年度の概算要求を発表
小学校のプログラミング教育施策では指導事例の創出・普及、教員研修の教材開発の充実を支援
8月30日、文部科学省は2019年度の概算要求を発表しました。2019年度の文部科学関係の要求額は5兆9351億円と前年度より6263億円増となっています。
文部科学省全体の予算づくりの指針として、「人生100年時代」や「Society 5.0」(※1)の到来を見据えながら、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくため、教育再生や科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興により、「人づくり革命」を断行し、「生産性革命」の実現を掲げています。
プログラミング教育に関連するところでみると、「次世代の教育情報化推進事業」は前年度より2000万円増の1.3億円を要求しています。
これは、新しい時代に求められる資質・能力を育成するための事業で、すべての学習の基盤となる「情報活用能力」の育成に取り組めるように、優れた指導事例の創出・普及や教員研修用教材の開発等の支援策を講じるための予算として位置づけられています。特に小学校におけるプログラミング教育の推進を重点的に取り組むとしています。
2018年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」でも、2020年度から始まる小学校でのプログラミング教育を効果的に実施するために、2019年度から教員が教材や指導方法に習熟できるように、全国の教育委員会や学校、企業と協働して、ポータルサイト等を活用しながら教材開発や教員研修の質の向上の実現を図ることが発表されています。
また新規事業では、Society5.0時代を切り拓くための人材育成を重要な課題として、次世代にふさわしい教育システムへと改革を加速させるため、「産学コラボレーション人材育成システム構築事業」を立ち上げ、18億6000万円を計上しました。
そして「学校における未来型教育テクノロジーの効果的な活用に向けた開発・実証推進事業」(要求額:7億円)では、AI等の先端技術を利用した未来型教育テクノロジーを効果的に活用することを目的としていて、すべての子どもたちに対して、個々の学習進度や能力、関心に応じて最適化された学びを提供できる可能性を探ります。これを実現するため、学校現場と企業などとの協働により、学校教育で効果的に活用できる未来型教育テクノロジーの開発・実証していきます。
2020年度の小学校のプログラミング教育の必修化を控え、より質の高い指導事例の醸成、その教育内容の共有化と教材の充実を実現するための取り組みが活発化しそうです。
(※1)Society 5.0
仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のこと。
参考資料
2019年度概算要求のポイント
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408721_01-1.pdf
未来投資戦略2018(2018年6月15日閣議決定)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf