海外のプログラミング教育事情 ~インド編~
インドといえば、近年ではIT大国としても知られる国。ITにおける産業規模は、2020年には2250億ドル、2025年までに3500億ドルに成長すると言われています。IoT(もののインターネット)市場でも2020年には1兆円規模に拡大する見通しとなっています。
人材育成省では、2015年からSTEM(※1)人材を育成するためのプロジェクトであるRAA(Rashtriya Avishkar Abhiyan)」を開始しています。2017年の世界経済フォーラムの調査によると、2016年のインドにおけるSTEM分野の学士号を取得した学生は世界2位となる260万人にのぼりました。
初等教育のプログラミング教育の状況をみてみると、公立学校の3~12年生において2005年に制定されたカリキュラムで、数学の一部に「ICT」と「Computer Science (CS)」が加わりました。
「ICT」ではプログラミング、ソフトウェアアプリケーション、インターネットやICT環境の利活用について学習します。
「CS」ではアプリケーションなどのツールをどのように設計、効果的に使うかというスキルを身につけることを目的にしています。LOGO(教育向けとして設計されたコンピュータプログラミング言語)を使って簡単な図形を描いたり、5年生になると簡単なアルゴリズムやフローチャートを学習。さらに掘り下げた学習内容になっています。
段階的にレベルを上げながらプログラミング教育に取り組むインドですが、初等教育では、教員の数の欠如、質の面でも訓練を受けた教師の占める割合が他国に比べて少なく、教育格差の問題にも直面しています。ICT教育を普及させるための施策として、政府は教育現場でICTを利用した教師に対して表彰をしています。
根強く残る問題も山積していますが、IT産業が年率10%前後の成長率で拡大し続け、STEM分野の優秀な人材を輩出している実績を残しています。初等教育からの段階的に深化するプログラミング教育に取り組んでいくことで課題解決や思考開発などのスキルがしっかりと定着し、その学習が効果的であることを示していると考えられます。
(※1) STEM
科学・技術・工学・数学の分野を総称する語。
参考資料
文部科学省平成 26 年度・情報教育指導力向上支援事業 『諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究』 http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/programming_syogaikoku_houkokusyo.pdf
文部科学省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)」 インド基礎資料 https://www.eduport.mext.go.jp/pdf/programs/country-subcommittee/scs1/csc1_india.pdf