OECD、2030年に向けた教育「エデュケーション2030」の枠組みを公表
OECD、2030年に向けた教育「エデュケーション2030」の枠組みを公表
~新しい時代に必要な力とは?~
OECD(経済協力開発機構)は、2018年2月、2030年の教育のあり方を展望する「エデュケーション2030」の概要をまとめました。
「エデュケーション2030」は、2015年からOECDが立ち上げたプロジェクトで、世界全体があらゆる分野で様々な変革の波が押し寄せることが予想される2030年という時代を生きていくために、どのような教育が必要なのかをOECDの加盟国で考えていくものです。
この枠組みの中では、以下の3つの力の育成が必要だとまとめています。
新たな価値を創造する力
新たな成長を進めていくうえで、サービスやビジネスモデルなどを考えるとき、他者との協働によって新しい仕組みを生み出していかなければならない。
そのときに必要なのは、適応力・創造力・好奇心・新しいものに対して受け入れることができるオープンな意識 だとしています。
対立やジレンマを克服する力
矛盾、相容れないような考えや立場にあったとしても、お互いのつながりや関連性を考慮しながら、統合的に考えて行動していく力。
責任ある行動をとる力
自分の成果物について責任をもって説明できる力。自分のとった行動を振り返ったり、評価する自己調整できる力が大切になると捉えています。そのときに必要となるのは、責任感・問題解決・適応力も含まれるとしています。
今回公表されたエデュケーション2030の概念は、2013年に国立教育政策研究所が提案した「21世紀型学力」にも通じるところがあり、来年から始まる新学習指導要領にもその要素が多く盛り込まれています。
小学校で必修化されるプログラミング教育は、複雑な情報を自分の力で読み解いて、課題や解決策を考え、創造力や学ぶ力を養うという点で、とても効果的な学習方法のひとつだと考えられています。
今後、小学生から始まるプログラミング教育での学びの積み重ねが、これから先の変化にも対応できる考え方の根源になることが期待されています。
「エデュケーション2030」プロジェクトは、2019年から、これまで検討してきた枠組みを学校の授業や評価など具体的に落とし込んでいくフェーズに入っていきます。
同様に、今年は日本でも2020年から始まる小学校のプログラミング教育の必修化に向けた、より具体的な取り組みが一層活発になり、進化していく大切な1年となりそうです。
参考資料
OECD教育2030を公表 “生き延びる力”とは(2018年3月5日)
https://www.kknews.co.jp/post_ict/20180305_1b
OECD関連資料
http://www.oecd.org/education/2030/
OECD Education 2030 THE FUTURE OF EDUCATION AND SKILLS Education 2030(日本語版)
http://www.oecd.org/education/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf
文科省のプログラミング教育に関する有識者会議から読み解く①
https://edu.gramin.jp/post/2016081301/
国立教育政策研究所 教育課程の編成に関する基礎的研究 報告書5(21世紀型能力)