半数以上の自治体でプログラミングの授業を実施。取組状況に大幅な前進
2018年度 小学校プログラミング教育 取り組み状況
文部科学省は、昨年に引き続き、2018年度の教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等に関する調査を実施し、その結果が2019年5月28日に公表されました。(調査期間は、2019年2月4日~3月25日、回答率:57.9%)
プログラミング教育に関する取り組みとしては、前年度調査時には過半数の自治体で「特に取組をしていない」と回答していましたが、今回の調査では4.5%と大幅な減少となりました。そして「授業を実施している」と回答した自治体が52.0%と、大幅な伸びを示しています(図1参照)。さらに2019年度に授業実施を予定していると回答した自治体は77%あり、より具体的な取り組みが活発化しそうです。
【図1】
この背景には、4割以上の自治体で小学校のプログラミング教育に関する予算要求・予算案に盛り込まれたことがあります。実施した教科は、算数・理科が多く、次いで総合的な学習の時間にプログラミング教育を充てていることが多いことが分かりました。
また、課題としては、大規模な自治体(指定都市・中核市・市・特別区)と比較した場合、小規模な自治体での取り組みが遅れていることが顕著となりました。この施策として、全国各地で小規模自治体向けにプログラミング教育のセミナーを実施することを予定しているようです。
現場から挙がってきている課題として、約半数の自治体で、指導方法などの情報不足により、プログラミング教育の取り組み方がわからないという回答がありました。
アンケート内の自由記述においても、「プログラミング教育の趣旨や基本的な考え方への周知や、育成する能力がクリアになっていない」「どのような教科や領域でプログラミング教育をしていけばよいのか、より具体的な情報が必要である」などの意見がありました。また授業時間が限られている中で、「プログラミング教育を教科の目標と関連づけることが難しい」「授業のねらいと両立することが難しい」「プログラミング的思考力の育成が教科の学習と異なるため、具体的なイメージがはっきりしない」という声もあります。
前回のアンケートでは、プログラミング教育の授業への落とし込み方が分からないといった不安や、予算や人的リソースの不足に関する課題が多く見受けられました。
今回の調査でも、地域により、取り組みに大きな差がみられることが課題となっているものの、半数以上の自治体でプログラミング教育に関する授業を実施するなど、その取り組みは大きく飛躍したことが結果として顕れています。
課題面では、教科の授業とプログラミング教育の両立をどのようにしていけばよいのかイメージが掴みきれないといった、より具体化した意見が出てきました。
今年度は、これらの課題に対し、ポータルサイトや外部等からの情報をもとに授業を実施したり、積み重ねていった事例や教材が多くの教員に行き渡るような横断的な共有と、効果的に使用することで、来年度につないでいくフェーズになっていきそうです。
参考
文部科学省 教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等について(ポイント) http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/28/1417283_001.pdf
教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等について(全文) http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/28/1417283_002.pdf
地域格差と「情報」「予算」「人的リソース」不足顕著に 小学校の保護者 プログラミング教育に論理的思考・問題解決能力の向上を期待 https://edu.gramin.jp/post/2018072001/