プログラミング教育は出会いが肝心?
プログラミング教育は出会いが肝心?
~岡山大学などのプログラミング教育に与える効果に関する研究結果より~
岡山大学大学院教育学研究科の岡崎善弘講師などの共同研究グループは、プログラミング未経験の小学生が初めて学習した方法によって、プログラミングへの自信や興味の継続にどのような影響があるかを調査。その結果が公開されました。
プログラミング学習の必修化が検討されていた2015年に総務省が示したプログラミング教育の段階は、下図のように3段階を位置づけています。
まずはプログラミング教育の導入部分である「動機づけ」が成功しないことには、次のステップのもっと学習してみたいと感じる「継続的な学習」に進むことが難しいことが予想されます。 動機づけの足掛かりとなるワークショップや体験授業で、「もっと勉強したい!」「プログラミングって楽しい!」という成功体験が今後の学習持続へつながるのか、またプログラミング体験の形式によって効果にどのような差が生じるのかを検証してみることが今回の研究の目的です。
この研究は、プログラミング未経験の小学生約60人を対象とし、ワークショップを受ける講義型、2人でテキストを見ながらプログラミングする協同型、1人でテキストを見ながらプログラミングする個別型の3グループに分かれて、約80分でシューティングゲームの作成を行い、実施前・後で同じ質問に答えてもらい調査しました。
この結果、プログラミングが上手にできる自信(成功期待)についての質問では、すべてのグループで実施後の方が自信につながったことを示す数値となりました。特に講義型のグループは、実施前後で伸びが一番高いことが分かりました。 また、プログラミングに興味をもてる、役に立つか(課題価値)について、実施後の効果が顕れたのは、講義型と協同型の2グループのみで、個別型では効果が認められませんでした。
これらを踏まえると、どの学習方法でもプログラミングはやってみればできるかもしれないという自信につながることが分かりました。 ただ、1人での学習はプログラミングをもっと学びたいという興味まではつながらない可能性も大きく、プログラミング教育の導入体験としては不向きな面もみてとれました。この場合は、友達や保護者と一緒に学習する協同型の方式をとることで、それぞれの考えを認め、提案、議論していきながら論理的な思考能力を伸ばしていくように学習を進めていくなど、工夫が必要となりそうです。他の人と一緒にプログラミング体験を共有することが学習の継続につながることもこの調査結果から伺うことができました。
参考URL
プログラミングの体験形式がプログラミング教育の動機づけに与える効果(教育実践研究論文)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/advpub/0/advpub_41047/_pdf
“プログラミングのやる気が高まる方法”は!?プログラミングとの出会い方が子どものやる気に影響(岡山大学プレスリリース)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press29/press-170913-1.pdf